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蒸発器オートドレン仕様とPTFEライニングの基本的な考え方2026年04月24日

化学工場や塗料・インキ・レジスト・樹脂を扱う工場では、廃溶剤の発生量が多く、汚染濃度も高くなるケースがあります。

このような廃溶剤を蒸留回収する場合、処理能力だけでなく、蒸留後に残る濃縮残渣をどのように取り出すかが重要になります。

特に中規模以上の設備では、濃縮残渣の量が多くなり、袋処理方式では袋の取り出し頻度が増えることがあります。
その結果、作業者の負担、装置停止時間、臭気、清掃作業などが課題になりやすくなります。

そこで選択肢となるのが、オートドレン仕様です。


オートドレン仕様とは

オートドレン仕様とは、蒸発器を架台で嵩上げし、蒸留後の濃縮残渣を蒸発器下部から排出し、真下に設置したドラムなどへ落とす方式です。

袋を頻繁に取り出すのではなく、濃縮残渣を下方向へ排出するため、発生量の大きい現場や、粘性のある残渣が発生する現場で有効な場合があります。

たとえば、次のような廃溶剤が対象になります。

  • 樹脂分を含む廃溶剤
  • レジスト成分を含む廃溶剤
  • 塗料・インキ成分を含む廃溶剤
  • 汚染濃度が高く、残渣量が多い廃溶剤

実際に、大手インキメーカー様向けに、粘性のある樹脂を含む廃溶剤で、CA-805クラスのオートドレン仕様を採用した実績もあります。


お客様が心配されるポイント

一方で、オートドレン仕様をご検討いただく際には、次のようなご不安をいただくことがあります。

「濃縮残渣が蒸発器の内壁に付着しないか」
「固形分が析出して、蒸留効率が落ちないか」
「器内の清掃が毎回大変にならないか」
「樹脂やレジストが熱で硬化しないか」
「ドレン経路で詰まりが発生しないか」

これらは、実際の運用を考えるうえで非常に重要な視点です。

蒸留回収装置は、単に「溶剤を回収できる」だけでは十分ではありません。
日々の運転で、残渣を取り出しやすいこと、清掃しやすいこと、安定して使い続けられることが大切です。


PTFEライニングという選択肢

こうした不安を軽減する方法の一つが、蒸発器内部へのPTFEライニングです。
一般に「テフロンライニング」と呼ばれることもあります。

PTFEは、付着しにくい性質を持つフッ素樹脂です。
蒸発器の内窯にPTFEライニングを施工することで、樹脂・レジスト・塗料成分などを含む濃縮残渣が、内壁に強く固着しにくくなることが期待できます。

また、必要に応じて、蒸発器下部のドレン経路までライニング対応することも可能です。

これにより、次のような効果が期待できます。

  • 器内への付着を抑えやすい
  • 清掃時に残渣を除去しやすい
  • ドレン排出時の流れを妨げにくい
  • 固着による蒸留効率低下の不安を軽減しやすい

特に、原料が熱硬化しやすい場合や、時間の経過によって状態が変化しやすい廃溶剤では、PTFEライニングが有効な選択肢になることがあります。


まとめ

高濃度廃溶剤や、樹脂・レジスト・塗料を含む廃溶剤の蒸留回収では、処理能力だけでなく、濃縮残渣をどう扱うかが大きなポイントになります。

袋処理の頻度を減らしたい場合や、粘性のある残渣を効率よく排出したい場合には、蒸発器を架台で嵩上げし、下部のドラムへ排出するオートドレン仕様が有効な選択肢になります。

さらに、蒸発器の内窯やドレン経路にPTFEライニングを組み合わせることで、付着や清掃負荷に対する不安を軽減できる可能性があります。

「袋の取り出し頻度を減らしたい」
「濃縮残渣の処理をもっと楽にしたい」
「蒸発器内部の付着や清掃が心配」

このようなお悩みがある場合は、廃液の性状に合わせて、最適な仕様をご提案いたします。
次回は、PTFEライニングや関連コーティングの技術的な特徴、耐熱性・膜厚・非粘着性などのスペック面について、もう少し詳しくご紹介します。

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