シンナー(混合溶剤)は繰り返し蒸留して使えるのか?2026年04月11日
― 四輪メーカー塗装ラインの実測データから見る再生シンナーの安定性 ―

ホルムズ海峡情勢やナフサ供給不安の影響により、「シンナーは繰り返し蒸留して使用できるのか?」というお問い合わせが増えています。
特に塗装工場や洗浄工程では、シンナーの安定供給は生産に直結する重要な要素です。そこで今回は、実際の量産塗装ラインから排出された廃シンナーを使用し、繰り返し蒸留再生した際の成分変化をGC分析で検証した事例をご紹介します。
実際の塗装ライン廃シンナーで検証
本試験では、四輪メーカーの塗装ラインから排出された廃シンナーを使用し、
使用
↓
蒸留再生
↓
再使用
という実際の運用と同じサイクルを繰り返しました。この循環を9回実施し、各回の再生シンナーの成分構成をガスクロマトグラフィー(GC分析)で測定しています。
9回繰り返しても主要成分は安定
分析結果では、主要構成成分である
・エチルベンゼン
・p-キシレン
・酢酸ブチル
・トルエン
・1,3-ジメチルベンゼン
といった主成分は、蒸留を繰り返しても大きな崩れは見られず、一定範囲内で安定して推移しました。
例えば、
エチルベンゼン
新品:34.88%
再生後:19〜23%で推移
p-キシレン
新品:25.30%
再生後:30〜32%で推移
酢酸ブチル
新品:13.44%
再生後:12〜14%で推移
このように、循環使用後も主要成分のバランスは維持されています。また、その他成分についても大きな増加は見られず、組成は全体として安定して推移しています。
グラフでも確認できる安定した組成
下記の通り、1回目から9回目までの再生シンナーは、ほぼ同様の組成バランスで推移しています。

つまり、
使用
↓
蒸留
↓
再使用
という循環を繰り返しても、洗浄用途として十分な溶剤組成が維持されることが確認されました。
現場では「循環使用」が一般的
実際の塗装工場では、
汚れたシンナーを回収
↓
蒸留再生
↓
再び使用
という循環運用が日常的に行われています。
不足分のみ新液を補充することで、
シンナー使用量削減
廃液削減
供給不安リスク低減
コスト削減
を同時に実現できます。
まとめ
実際の塗装ライン廃シンナーを用いた検証では、9回の蒸留再生を繰り返しても、主要成分のバランスは安定していました。シンナーは一度使用して廃棄するものではなく、蒸留再生によって循環利用できる溶剤です。
供給不安や価格高騰が懸念される状況においても、回収・再生による安定運用が可能となります。
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